道の駅にドッグランをつくる際は、敷地面積から配置できる規模を考え、利用頭数と利用時間から広さの過不足を確認することが大切です。併せて、施工費用、駐車場からの動線、完成後の管理体制を整理します。
この記事では、市役所・町村役場の道の駅担当者や指定管理者に向けて、必要な広さの考え方から、費用、施工、運営準備までを解説します。
道の駅のドッグランの利用目的

ドッグランの面積や設備を決める前に、設置目的を整理します。道の駅では、旅行途中の短時間利用、近隣住民の日常利用、ドッグラン自体を目的にした来場などが考えられます。どの利用を中心にするかで、必要な規模と運営方法が変わります。
| 設置目的 | 主に検討する内容 |
|---|---|
| 移動途中の休憩 | 駐車場からの近さ、分かりやすい利用手順 |
| 犬連れ客の休憩環境を充実させる | 日陰、ベンチ、犬同伴で過ごせる場所 |
| 地域の日常利用にも対応する | 継続利用の需要、旅行者との利用の重なり |
| ドッグランを来場目的にする | 運動スペース、区画、受付、管理体制 |
設置だけで集客や売上の増加が決まるわけではありません。来場者の要望、犬連れ利用者の状況、近隣の類似施設を調べ、整備する理由を説明できるようにしましょう。
道の駅のドッグランは何㎡必要なのか?

必要な広さは、敷地全体に対する配置のバランスと、混雑時の同時利用頭数から検討します。全国共通の平均面積だけで決めることはできませんが、公式資料の数値を初期検討に使えます。
道の駅の平均敷地面積は17,120㎡です。
| 項目 | 調査値 |
|---|---|
| 敷地面積の集計対象 | 405駅 |
| 平均敷地面積 | 17,120㎡〈約1.7ha〉 |
| 10,000㎡未満の施設 | 約半数 |
| 最も多い面積区分 | 5,000〜10,000㎡未満〈28.4%〉 |
これは2021年度の調査に基づく集計で、全国すべての道の駅の最新平均ではありません。また、大規模施設を含む平均値と、施設数が多い面積帯は異なります。出典:福山市の公開資料
既存2施設では敷地の約2.9〜3.5%がドッグラン
上三川町の施設比較資料では、次の面積が紹介されています。
| 施設 | 全体の敷地面積 | ドッグラン面積 | 敷地に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 道の駅あがつま峡 | 約52,000㎡ | 約1,500㎡ | 約2.9% |
| 道の駅まえばし赤城 | 約71,000㎡ | 約2,500㎡ | 約3.5% |
割合は資料の概数から計算しています。面積は資料掲載時点の数値です。出典:上三川町の施設比較資料
両施設とも調査平均より大きな道の駅です。この2事例だけで、全国の標準的な割合を示すことはできません。
平均敷地面積に当てはめると約500〜600㎡になる
初期の配置比較として、先ほどの割合を各敷地面積に当てはめると、次の計算になります。ドッグラン面積の比較値=道の駅の敷地面積×約2.9〜3.5%
| 道の駅の敷地面積 | 割合を当てはめた面積 |
|---|---|
| 5,000㎡ | 約145〜175㎡ |
| 10,000㎡ | 約290〜350㎡ |
| 17,120㎡〈調査平均〉 | 約500〜600㎡ |
| 20,000㎡ | 約580〜700㎡ |
| 30,000㎡ | 約870〜1,050㎡ |
この表は面積配分の比較用で、必要面積や収容可能頭数を示す基準ではありません。既存施設に追加する場合は、建物、駐車場、通路、排水設備などを除いた場所に配置できるかを確認します。全体面積に余裕があっても、安全に使える場所を確保できるとは限りません。
滞在時間と利用頭数から広さの過不足を確認する
敷地から配置案を作ったら、想定する利用状況に合うかを検討します。
道の駅全体の滞在時間とドッグランの利用時間を分ける
行田市の公開アンケート資料では、回答449人の道の駅滞在時間は「30分以上〜1時間未満」が53.7%、「30分未満」が38.1%でした。出典:行田市の調査資料
ただし、これは買い物や飲食などを含む時間です。犬連れ利用者だけの調査でも、ドッグランの利用時間の調査でもありません。計画時は、ドッグランの平均利用時間を15分・20分・30分と仮定し、複数のケースを比較する方法があります。これらの時間は実測平均ではなく、検討のための仮定です。
平均同時利用頭数を計算する
入場が一定のペースで続くと仮定すると、平均同時利用頭数は次の式で概算できます。平均同時利用頭数≒1時間当たりの入場頭数×平均利用時間÷60分
| 1時間の入場頭数〈仮定〉 | 利用15分 | 利用20分 | 利用30分 |
|---|---|---|---|
| 12頭 | 3頭 | 4頭 | 6頭 |
| 24頭 | 6頭 | 8頭 | 12頭 |
| 36頭 | 9頭 | 12頭 | 18頭 |
同じ入場頭数でも、平均利用時間が15分から30分になると、平均同時利用頭数は2倍になります。入場頭数は、犬連れ来場者の観察、試験運用、条件の近い施設への調査などから設定します。道の駅全体の来場者数を、そのままドッグランの利用頭数として扱わないことが大切です。
500㎡の配置案で利用の重なりを比較する
例えば、ドッグラン全体を500㎡、平均利用時間を20分と仮定すると、次の比較ができます。
| 1時間の入場頭数〈仮定〉 | 平均同時利用頭数 | 全体面積を頭数で割った値 |
|---|---|---|
| 12頭 | 4頭 | 125㎡/頭 |
| 24頭 | 8頭 | 約63㎡/頭 |
| 36頭 | 12頭 | 約42㎡/頭 |
右列は、利用密度を比較するための計算値です。安全基準や、1頭当たりの推奨面積を示すものではありません。扉や設備を含む面積のため、実際に運動できる広さは配置によって変わります。また、平均値では一斉到着や休日のピークを表せません。設計では繁忙時の集中を別途確認し、混雑時の入場制限も計画します。
面積だけでなく形状と区画ごとの利用を確認する
500㎡は、例えば20m×25mの広さです。同じ面積でも、細長い土地や障害物のある土地では、走れる距離や見通しが変わります。小型犬用と中・大型犬用に分ける場合は、区画ごとの需要も確認します。一方の区画だけが混雑する可能性があるため、合計面積と合計頭数だけで判断しないようにしましょう。
配置計画では駐車場からの安全な移動を優先する

道の駅では、乗用車、大型車、歩行者、商品の搬入車両が行き交います。ドッグランへの経路を、施設全体の配置図で確認します。
車両動線との交差を減らす
駐車場から入口までの経路について、車路を横断する場所、大型車区画、搬入口との位置関係を確認します。最短距離だけを優先せず、犬を複数連れた人や子ども連れの家族も移動しやすい経路を検討しましょう。
入口前に待機場所を設ける
入口では、利用条件の確認、リードの着脱、前の利用者の退出待ちが発生します。二重扉の外側にも待機場所を確保し、店舗入口や歩行者の通路をふさがない配置にします。
犬を連れていない来場者にも配慮する
売店やトイレへ向かう人が、必ずドッグランの入口前を通る配置になっていないか確認します。桶川市の道の駅整備資料でも、犬が苦手な利用者に配慮したドッグランの配置が検討されています。桶川市の整備事業資料
道の駅のドッグラン施工費用を左右する項目

施工費用は、面積だけでなく、造成・排水、フェンス延長、区画数、設備、営業中の安全対策によって変わります。予算検討では、次の内訳を確認します。
| 費用項目 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 調査・設計 | 現地調査、配置計画、仕様の検討 |
| 撤去・造成 | 既存物撤去、掘削、整地、残土処分 |
| 下地・排水 | 路盤、勾配調整、排水設備 |
| フェンス・門扉 | 外周柵、内部柵、高さ、扉の数 |
| 床材 | 材料、施工面積、固定方法 |
| 付帯設備 | 水場、ベンチ、日除け、看板 |
| 仮設・安全対策 | 仮囲い、誘導、仮設通路 |
同じ面積でもフェンスの長さで費用が変わる
例えば500㎡でも、20m×25mの区画は外周90m、10m×50mの区画は外周120mです。内部の仕切りや扉を除いても、外周に30mの差が生じます。見積もりでは面積とともに、外周・内部柵の延長と出入口の数を確認しましょう。
排水と下地を含めて比較する
床材の材料単価だけでは、施設全体の費用は判断できません。雨水が集まりやすい土地や高低差のある土地では、造成・排水への対応が必要になる場合があります。複数案を比較するときは、下地、排水、処分費、諸経費、消費税、別途工事の条件をそろえます。
必要設備は管理のしやすさまで考えて選ぶ
設備は、設置時の使いやすさと、清掃・点検・補修のしやすさを合わせて検討します。
フェンス・二重扉・エリア区分
フェンスは高さだけでなく、柵や門扉の隙間、地面との境目、固定部分を確認します。想定する犬の体格や行動を踏まえた仕様が必要です。出入口は飛び出し対策として二重扉を基本案にし、犬と飼い主が落ち着いて出入りできる空間を確保します。
床材・排水・暑さ対策
床材は、利用頻度と管理体制に合わせて比較します。
| 床材 | 管理計画に含めたいこと |
|---|---|
| 人工芝 | 洗浄、表面温度の確認、端部・継ぎ目の点検、更新 |
| 天然芝 | 芝刈り、散水、傷んだ部分の補修、養生 |
| ウッドチップ | 品質確認、補充、異物除去、劣化管理 |
| 土・砂系 | 泥、砂ぼこり、凹凸、流出への対応 |
床材と排水は一緒に検討します。人工芝の施工も下地条件に合わせて計画します。日陰や休憩場所を計画するとともに、猛暑・荒天時の利用制限を判断する担当も決めておきましょう。
営業を続けながら施工する際の進め方
道の駅の営業中に施工する場合は、来場者の通行、商品の搬入、工事車両の経路を整理して工程を組みます。
| 段階 | 主な実施内容 |
|---|---|
| 目的・条件の整理 | 設置目的、候補地、予算、管理主体を確認 |
| 現地調査 | 地盤、排水、給水、埋設物、搬入経路を確認 |
| 配置・仕様の検討 | 面積、区画、設備、管理方法を比較 |
| 協議・発注準備 | 所有者との調整、必要な手続き、発注条件の整理 |
| 施工 | 区域の分離、仮設案内、工事車両の管理 |
| 完成確認・引継ぎ | 設備確認、清掃・点検方法、補修連絡先の共有 |
| 運営準備・開設 | 利用案内、受付、緊急対応、担当者への周知 |
繁忙日、地域イベント、納品が集中する時間を施工業者と共有します。公共発注では、発注者の調達手続きに沿って進めましょう。開設日は工事完了日だけで決めず、完成確認、芝の養生が必要な場合の期間、管理担当への引継ぎ、利用案内の公開まで含めて設定します。
維持管理費と旅行者向けの利用案内を整える
無料のドッグランでも、清掃・点検・修繕の費用が発生します。年間予算には、人件費、水道・電気、消耗品、床材の補修、設備更新などを見込みます。既存業務で対応する場合も、追加で必要になる作業時間を確認しましょう。
初めての来場者にも利用条件が分かるようにする
旅行者は、現地で初めてドッグランの存在を知る場合があります。ウェブサイトと入口の案内に、次の情報をまとめます。
- 利用時間、休止日、臨時閉鎖の確認方法
- 料金、受付場所、支払い方法
- 入場条件、必要な証明書と確認方法
- 犬の体格によるエリア区分
- 排泄物の処理、飲食・玩具のルール
- 緊急時や不具合発見時の連絡先
道の駅本体の営業時間とドッグランの利用時間が異なる場合は、分けて表示します。
休憩・買い物とのつながりも考える
ドッグランの近くに犬同伴で使えるベンチやテラスがあれば、運動後に休憩する選択肢になります。一方、買い物中に犬だけをドッグランへ残す使い方は前提にせず、飼い主が見守りを続けられる運用を考えます。犬が入れる区域と入れない区域も明示しましょう。
道の駅のドッグラン整備は誰が担当する?
まず確認するのは、自治体の道の駅所管部署と、指定管理者・運営会社の役割です。計画を提案する人、工事を発注する人、完成後に管理する人が同じとは限りません。
自治体の担当部署は施設によって異なる
道の駅の担当部署には、観光振興課、商工観光課、道の駅整備課などの例があります。実際に、市川市では観光振興課、那珂市では道の駅整備課が道の駅に関する情報を公開しています。市川市の公式ページ、那珂市の公式ページ
「ドッグランだから公園担当」「道の駅だから道路担当」と決めず、対象施設を所管する部署から確認しましょう。
自治体と運営者の費用・管理分担を整理する
国土交通省は、道の駅の設置者を市町村またはそれに代わり得る公的な団体としています。設置者と日常の管理・運営を担う主体が異なる場合もあります。国土交通省「道の駅案内 概要」、道の駅登録案内要綱
| 項目 | 決めておきたい内容 |
|---|---|
| 計画・発注 | 設置計画を決める主体、工事の発注者 |
| 費用負担 | 調査・設計・施工費を負担する主体 |
| 設備の所有 | 完成後の設備所有者 |
| 日常管理 | 清掃、巡回、点検の担当 |
| 修繕・更新 | 判断する主体と費用負担 |
| 緊急対応 | 事故、不具合、苦情の連絡先 |
指定管理者が提案する場合も、設備追加の扱いと協定・業務範囲を確認し、施設所有者と調整して進めます。
開設後は利用実績に合わせて見直す
開設後は、設置目的に対してどのように使われているかを確認します。
| 記録する項目 | 見直しに使える内容 |
|---|---|
| 時間帯別の入場頭数 | 混雑する時間、運営時間 |
| 利用時間・同時利用頭数 | 面積と入場管理の過不足 |
| エリアごとの利用状況 | 区画配分、利用条件 |
| 清掃・巡回の作業時間 | 人員配置、管理予算 |
| 補修・苦情・事故の記録 | 設備、動線、利用ルール |
集客や物販・飲食への影響を評価したい場合は、アンケートなどで立ち寄り理由や施設内での利用状況を確認します。季節、イベント、天候などの影響も踏まえて判断しましょう。
道の駅のドッグラン施工でよくある質問
道の駅のドッグランは500㎡あれば十分ですか?
500㎡は初期の配置比較に使える一案ですが、十分かどうかは利用頭数、犬の体格、区画数、敷地形状によって変わります。繁忙時の同時利用頭数と、運動に使える有効面積を確認して判断します。
道の駅の敷地が小さくても設置できますか?
面積だけでなく、安全な歩行経路、出入口の待機場所、排水、既存施設との関係を確認します。確保できる広さに応じて、利用条件や頭数制限も検討します。
道の駅の滞在時間から広さを決められますか?
滞在時間だけでは決まりません。ドッグランの利用時間と1時間当たりの入場頭数から平均同時利用頭数を概算し、繁忙時の集中も考慮します。
市役所のどの部署に確認すればよいですか?
対象の道の駅を所管する部署に確認します。部署名は観光振興課、商工観光課、道の駅整備課など自治体によって異なります。指定管理施設では運営者の役割も確認します。
見積もりの前に何を用意すればよいですか?
所在地、配置図、候補地の写真、概算面積、設置目的、予算、開設希望時期を用意します。分かる範囲で、給排水設備、搬入経路、繁忙日、想定利用頭数も共有すると検討が進みます。
道の駅のドッグラン施工は、広さ・費用・管理を一緒に検討する
道の駅のドッグランは、敷地全体とのバランスから配置案を作り、利用頭数と利用時間でその規模を検証します。調査平均の敷地面積に既存2施設の割合を当てはめると約500〜600㎡になりますが、これは比較用の試算です。実際の計画では、繁忙時の需要、安全な動線、排水、施工費用、完成後の管理体制を合わせて判断します。
道の駅へのドッグラン導入を検討している方は、候補地の写真や配置図、設置目的、予算、希望時期を整理し、現地条件に合った配置と施工範囲の相談から始めましょう。
道の駅のドッグラン施工について、ドッグランホームズへ相談する